日本で人々がコーヒーを飲むようになったのは1800年後半以降です。
それまでは、お茶を飲む習慣はあっても、コーヒーを飲む習慣はありませんでした。
日本の喫茶店文化は、茶道の精神や西洋カフェ文化が混ざり合って、日本独自に発展してきた「お茶・コーヒーを楽しむ生活文化」です。
1888年、東京・上野に「可否茶館」が開業し、日本初の本格喫茶店とされます。
1910年~1920年頃にかけて銀座の「カフェー・プランタン」など、文化人・芸術家が集うサロン的な店が登場し、「カフェー」が都市文化の中心になります。
1920〜30年代、「酒や女性給仕を伴うカフェー」と「飲み物中心の普通喫茶店・純喫茶」に分かれ、後者が現在の喫茶店の源流になります。
第二次世界大戦後、庶民的な喫茶店が増え、待ち合わせ・商談・学生の勉強などに使われるようになります。
喫茶店はこの頃から繁栄し始めた日本のコーヒー文化の礎です。くつろぎの場として「サードプレイス」として機能し、現代のカフェとは異なり、喫煙が許可されていることが多いです。
1960年頃には純喫茶ブームが起こり、ハンドドリップやサイフォンでの一杯だてコーヒー、モーニングサービスやナポリタンなど独自メニューが定着します。
茶道の影響を受け、一杯一杯を丁寧に淹れる姿勢や、静かで落ち着いた時間を重んじる点が特徴とされます。
店主がハンドドリップやネルドリップ、サイフォンなど抽出方法にこだわり、「コーヒーの味で勝負する店」が世界的に見ても早くから現れたと指摘されています。
席まで飲み物や軽食を運ぶフルサービス型で、長居を前提としたゆったりした空間づくり(照明、音楽、雑誌、インテリア)が重視されます。
コーヒーだけでなく、クリームソーダ、ミックスジュース、トースト、ナポリタンなど「喫茶店ならでは」の定番メニューが文化として根づいています。
社会・文化との結びつき
1880年代から1920年代の喫茶店は、知識人や芸術家が集い、文学・美術・思想を語り合うサロン的役割を果たしました。
第2次世界大戦後は、学生運動や社会運動が議論された場としても機能し、「長く座って話せる空間」が文化的・政治的議論のインフラにもなりました。
現在も、地域の常連が集うコミュニティの拠点として、また「*昭和レトロを味わう場所」として再評価されつつあります。
*昭和レトロ:日本の昭和時代(1926~1989年)、特に戦後の1950年代から1970年代の日常生活にインスパイアされた、ノスタルジックなスタイルと雰囲気を表す日本語です。
温かみがあり、少し使い古されたような、人間味あふれる雰囲気。洗練さよりも快適さを重視し、すべてがデジタル化される前の時代を心地よく思い出させてくれます。
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