中国雲南の国産コーヒーブランド后谷咖啡

By Cafesba , 9 5月, 2026
后谷咖啡

雲南省のコーヒー生産大手が立ち上げた后谷咖啡

雲南省のコーヒーの大手コーヒー生産企業宏天実業が、1980年代後半に中国に進出したネスレやマックスウェル、1990年代に進出したスターバックスにコーヒー豆を卸し、それらの事業の拡大とともに急成長しました。

そして2004年頃から、コーヒーの加工製品の研究開発を始め、2005年に「后谷」ブランドのコーヒーを発売し、原料供給企業から自社ブランドの消費者向け製品メーカーへと転換を図り始めました。



 

后谷咖啡は世界最大のインスタントコーヒー単体生産企業

2008年には自社の「民族ブランド」を打ち出し、ネスレへの原料供給を大幅に削減しました。同時に、中国最大となる年間3,000トンの速溶(インスタント)コーヒー生産ラインを建設しました。

2011年には年間10,000トンの生産ラインを完成させました。 

2017年2月、中国外交部の王毅部長が「魅力雲南、世界共有」というグローバル紹介イベントで后谷コーヒーを絶賛し、世界中で飲んだコーヒーの中で最高だと述べました。

2018年には営業収入56.9億元を達成し、雲南省民間企業第10位にランクインしました。同年、20,000トンのコーヒー生産ラインを完成させ、世界最大のインスタントコーヒー単体生産企業となりました。

后谷咖啡の歩みは、中国企業がグローバルサプライチェーンの中で「原料供給者」から「自社ブランドを持つプレイヤー」へと変貌していく過程を凝縮しています。

もともととネスレ、スターバックス、マクスウェルといった国際大手ブランドにコーヒー豆を供給する立場にありました。この段階では、雲南産の高品質なコーヒー豆は海外ブランドの製品に組み込まれるだけで、生産地の名前や中国企業のブランドは消費者の目に触れることがありませんでした。 

しかし2008年のネスレへの大幅な供給削減は、付加価値の高い川下事業を自ら握ろうとする動きでした。

后谷は急成長し、栽培から加工、ブランド経営まで全産業チェーンを自社で手がけるモデルを構築し、製品を60カ国以上に輸出するまでに成長しました。

さらにアジアコーヒー協会の設立を主導するなど、国際的なルールや基準の策定にも関与するようになり、「ルールに従う側」から「ルールを作る側」への転換も進めました。

 

后谷珈琲が主導したアジアコーヒー協会

世界のコーヒー産業においては、長らくアメリカ精品コーヒー協会(SCAA)やヨーロッパ精品コーヒー協会(SCAE)がコーヒーの文化や品質基準を主導しており、アジアのコーヒーは文化面でも基準面でも弱い立場に置かれていました。アジアは世界人口の半分以上、コーヒー生産量の約3分の1を占めているにもかかわらず、国際コーヒー貿易においては原料輸出が中心で、価格決定権や発言力が欠如していました。 

2015年頃、中国雲南省のコーヒー主産地を中心に、ネパール、スリランカ、ベトナム、タイなど20カ国以上のアジア諸国が共同でアジアコーヒー協会の設立を提唱しました。各方面の推進を経て、2017年7月にスリランカの首都コロンボで正式に登記が完了し、中国昆明に唯一の海外代表事務所が設置されました。 

2016年、第26回世界コーヒー科学大会の開催に合わせ、中国雲南省芒市で第1回アジアコーヒー年会が開催されました。この際、各国の参加代表により、芒市がアジアコーヒー年会の永久開催地に認定されました。この大会は后谷咖啡が主催しており、協会設立への地ならしとなりました。 

2017年11月27日、「共商・共建・共享」をテーマとした2017アジアコーヒー年会が雲南省芒市で開幕し、世界29カ国からコーヒー研究者や企業家423名が参加しました。この場でアジアコーヒー協会が初めてAbody認証を発表し、アジア産精品コーヒーの品質基準として打ち出しました。 China News

この年会はアジアコーヒー協会と中国コーヒー工程研究センターが主催し、后谷咖啡が運営を担い、雲南省コーヒー行業協会などが協力しました。 


初代理事国として以下13か国が選出されました。

・中国(主席国)

・韓国

・日本

・ベトナム

・ミャンマー

・マレーシア

・タイ

・インドネシア

・インド

・ネパール

・スリランカ

・サウジアラビア

・トルコ


協会の目的と意義

アジアコーヒー協会の設立は、アジア独自のコーヒー基準の策定、アジアコーヒーの価格体系の構築、アジアのコーヒーブランドの育成、アジアにおけるコーヒー産業を通じた国際的な貧困削減の推進、そしてアジアコーヒー文化の普及を目的としています。 

后谷咖啡の董事長である熊相人はこの動きを主導し、初代主席に就任しました。

協会はその後、統一的なアジアコーヒー品質等級基準の策定、多国間のコーヒー産業マッチング会議の開催、「アジアコーヒー振興計画」の立ち上げによる各国の農家への技術支援などを進めました。 

后谷咖啡の経営危機と破産再建を経た後も協会は存続しており、2026年3月の換届大会では、再建後の后谷控股(雲南)有限公司が再び主席国単位に選出され、新たに張宏氏が協会理事会主席・会長に就任しています。 

つまり、アジアコーヒー協会の設立は、欧米主導のコーヒー業界基準に対してアジア独自の声を確立しようとする動きであり、后谷咖啡がその旗振り役を果たしたものでした。

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